Reality～切ない恋の唄～

車がまだ止まりきらないうちに、ドアを開けた。

外に出ようとした瞬間、
橘さんが私の腕をつかんだ。

「舞ちゃん、危ない！戻って!!」

「橘さん…ごめんなさい。」

私は無理やり橘さんの手を振り払った。



私が外に出ると、
ファンの群れが押し寄せてくる。

「本物だ!!」

「舞ちゃ～ん！」

多くの人が歓声をあげながら、私を取り囲む。



「舞ちゃん、車に戻って。」

橘さんが人混みをかき分けて、
私を車内に押しこむ。



橘さんは慌ただしくドアを閉めると、
運転手に向かって叫んだ。

「早く出して下さい！」