Reality~切ない恋の唄~
車は、勢いよく発信した。

もう一度その人影を探す。



腕を組んだまま、
まっすぐ立つ姿。

間違いない。

龍二先生だ…




先生もこっちを見ている。

あの帽子…かぶってきてくれたんだ。



先生の姿は見えるのに…

車は、どんどん遠ざかっていく。



その姿が見えなくなるまで、
ずっと窓にはりついていた。



どうしてこんなに有名になってしまったんだろう。

一番会いたかった人がすぐ側にいるのに、
自由に声をかけることもできない。



『舞』という名前が有名になっても…

流行りの歌姫と騒がれるようになっても…

私はまだ龍二先生を必要としてる。



私の心はずっと…

あの頃のまま何も変わってない。



もう一度、
先生の生徒に戻りたいって思ってしまう。

弱い舞子のまま…

変われてないんだ。
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