Reality~切ない恋の唄~
「どうかしたのか?」

遼さんは私の隣に立っていた。

「何でもないです…」



遼さんが視線を向けると、
麗さんは胸元をおさえ顔を背けた。



「麗、大丈夫か?」

麗さんの肩に手をかける遼さん。



「俺に触るな…!」

その手を激しく振りほどく麗さん。



「大丈夫だから…」

麗さんはゆっくり立ち上がり、
私達に背を向けた。



微かに震えるその背中は頼りなくて、
今にも消えてしまいそう…



どんなに男の振りをしても…

麗さんは間違いなく女の子だ。
< 329 / 372 >

この作品をシェア

pagetop