Reality~切ない恋の唄~
「龍二先生!?」

いつもは鬼にしか見えないけど…

今日は、地獄の中の仏様だ。



「高橋、大丈夫か?」

「全然大丈夫じゃないです!!」

先生は珍しくスーツ姿。

うちの父親の微妙なスーツとは違って、黒のスレンダーなライン。

スーツにサングラスじゃ、
業界人というより芸能人だ。



「今日床に向かって歌ったら、罰金10万だから。」

そんな…



「お前は上手く歌おうと思っても無理だから、精一杯楽しんでこい。ステージに立てるのは今日が最後かもしれないしな。」

先生は私の反論も聞かずに、
片手を上げて去っていった…。



今度は他の子に声をかけてる。

彼女も先生の生徒なんだろうか。



私だけの先生じゃないとわかってるけど、ちょっと寂しい。
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