門限9時の領収書

「あー、宿題しなきゃ。当たるんだよねー私、めんどいな。今日だってショウヘイヘイの日ー黄ショウヘイ、あはは」

髪の毛を弄りながら喋る結衣がこちらを見ただけで、

洋平の心臓は困るくらい高鳴り、どうしようもなくなってしまう。


  ……。

実は最近、彼は気分が良かった。
TVの話をする時の彼女は常に口角が上がっていると発見したからだ。

好きな人の事を知る度に幸せが増えるのは気のせいなのだろうか。


「ショウヘイ賢いチンパンジーって、ね?」

ドラマや音楽ではなく、深夜バラエティー番組を好むあたり、趣味が洋平とまるかぶりで、

また笑うポイントが同じところが大変嬉しく思う。

爆笑するツボが同じだと親近感が湧き、より仲良くなれる気がする為。


「失敗したらショウヘイの発音に微妙に感情篭るよなー」

「ほんまそれー笑える、息止めるやつ理不尽すぎ」

効果音が流れるなら、ベタにアハハになるのだろう。

波長が合うせいか、会話のやりとりは面白く、何時間でも話せる自信がある。


……それでもお喋りな唇を今すぐ塞ぎたくてしょうがないのだけれど。

そう、絶賛十六歳中、朗らかな乙女とは正反対――男子をしている頭の中はお見せできないくらいだったりする。

< 6 / 214 >

この作品をシェア

pagetop