門限9時の領収書
「あー、宿題しなきゃ。当たるんだよねー私、めんどいな。今日だってショウヘイヘイの日ー黄ショウヘイ、あはは」
髪の毛を弄りながら喋る結衣がこちらを見ただけで、
洋平の心臓は困るくらい高鳴り、どうしようもなくなってしまう。
……。
実は最近、彼は気分が良かった。
TVの話をする時の彼女は常に口角が上がっていると発見したからだ。
好きな人の事を知る度に幸せが増えるのは気のせいなのだろうか。
「ショウヘイ賢いチンパンジーって、ね?」
ドラマや音楽ではなく、深夜バラエティー番組を好むあたり、趣味が洋平とまるかぶりで、
また笑うポイントが同じところが大変嬉しく思う。
爆笑するツボが同じだと親近感が湧き、より仲良くなれる気がする為。
「失敗したらショウヘイの発音に微妙に感情篭るよなー」
「ほんまそれー笑える、息止めるやつ理不尽すぎ」
効果音が流れるなら、ベタにアハハになるのだろう。
波長が合うせいか、会話のやりとりは面白く、何時間でも話せる自信がある。
……それでもお喋りな唇を今すぐ塞ぎたくてしょうがないのだけれど。
そう、絶賛十六歳中、朗らかな乙女とは正反対――男子をしている頭の中はお見せできないくらいだったりする。