門限9時の領収書
大学生による小学生を対象にスポーツを教えるイベントが車で約四十分の広場で行われる。
野球やサッカー、ポートを始め、ビンゴ大会やマルバツクイズがあるらしい。
普段接しない人と遊べるし、どれも無料なので何も問題がないだろう。
運動が好きな弟に対して母親が教育的な面で手を抜かない事を分かった上で言った。
たちまち熱心なママの顔になるから――洋平は半ばドヤ顔を作ってみせる。
下から見上げる母親は、それならばと外出を決めたらしい。
弟が居て良かったと利用した癖に感謝をしてしまう洋平は兄失格なのだろうか。
今度の彼女はきちんと交際を認めてもらいたい。
(いまどき古いかもしれないが)
前の恋人に何ら問題はなく、単純に秘密で付き合っていただけだ。
ただ知られたくない恋愛事情がバレていただけだ。
……それだけだ。
「さすが僕のママ、ふはは、うん……ありがと」
茶化す癖は抜けない、相変わらず真剣味のない自分を母親はどう思ったのだろう。
……真面目に振る舞うことは苦手だ。
恐らく洋平は勇気がないから、自信がないから、だから不真面目なふりをしているのだろう。
一直線で向かった先が行き止まりだと怖いから――……予防策で笑いを狙うのだと思う。
そうすれば曖昧に逃げれるから、要するに悪賢いヘタレなのだ。
でも、別に問題はない。
そんな自分を結衣が好きなのだから、むしろヘタレはセールスポイントに変わる恋の荒業。