俺様アイドルとオタク女のキケンな関係
視線を前方に移すと、随分愛想よく共演者やスッタフと喋ったり、お茶を配ったりと気遣いしているやつが目に入った。
あれがこのドラマの主演。
現在注目されている人気若手俳優、水無月祈織だ。
随分余裕だよな。
好感度あげたいんだか何だか知んねーけど、俺は好きじゃない。
そりゃ俺だって“神崎拓真”を演じてるけど、
あそこまでする気にはなれないし、
あの無駄な爽やかさは何なんだよ?
そんな姿に少しイラッとする。
あんなやつ、すぐに追い抜いてやる。
そうして、俺はまた台本を読み込み始めた。
「神崎君は熱心だね。」