俺様アイドルとオタク女のキケンな関係
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「祈織お兄さん、今日はありがとうございました。」
あたしは自宅を背に祈織お兄さんに頭を下げた。
この夢みたいな時間がもう終わっちゃうんだ……。
祈織お兄さんはかっこよくてキラキラしてて――、こんな人と一緒にいられたのだと思うと本当に夢みたいだって思う。
それに、女の子として扱ってくれるのは祈織お兄さんぐらいなんだもん。
「こちらこそ。久しぶりに実來ちゃんと話せて楽しかったよ。ありがとう。」
やわらかく微笑む祈織お兄さんは、まるで王子様みたいだった――。
「じゃあ、またね、実來ちゃん。」
優しい声音とともに頭に感じる懐かしいぬくもり。
――祈織お兄さんがあたしの頭を優しく撫でた。
やっぱり祈織お兄さんは、優しいよ――。
あたしは頭に残るぬくもりを感じながら、颯爽と去っていく白い車を見送ったのだった。