俺様アイドルとオタク女のキケンな関係
この物語の中のユキって女がそんなにいい女には思えないが、好きなのにそこで身を引くのは男らしくないだろ。
本当に好きなら、自分のものにするだけだ――。
はぁ~あ、俺何やってんだろ?
俺は空を見上げた。
今日は公園でのロケで、上を向けば白い雲がぷかぷかと浮かぶ空が広がっている。
物語のただのキャラクターにイライラしたりして、くだらないよな。
役に入り込んで感情移入したとしても、イライラするところじゃない……。
すると、そんなイライラを冷やすように、ひゅうと吹いた秋風が頬を刺した。
なんか最近調子おかしいよな……。
俺は深く息を吐き出しながら、体を前かがみにし、額に手をついた。
そしてどうも目に入ってしまうのは主演俳優である水無月祈織。
衣装である白いブレザーに身を包んだ水無月祈織は、なんだか一人違う雰囲気を放っているように見えた。