俺様アイドルとオタク女のキケンな関係
こんなに困ったような顔をするならこのままからかうのも悪くない。
もうこのまま続けてイジメようか?
「もう終わりだって言ってんでしょ!さっさっと離れなさいよ!!」
アイツは俺の手を頬からはがしてはなれると、疲れたように息をつき、そしてより一層赤くなったような気がした。
「ふっ!」
コイツの行動はおかしくて笑える。
やっぱりイジメ甲斐があるな。
「な、何がおかしいのよ!アンタはまだまだよ!祈織お兄さんと勝負したら絶対負けるから。別にアンタの味方ってわけじゃないけど、勝負になんないからレクチャーしてあげる!」
いつも以上に早口で捲し立てると、鞄から漫画をドカリと出すアイツ。
「ちゃんと連様のことを勉強なさい!!まず第一巻!この一話のこのシーンはね、蓮様と花菜がこうやって出会って――」
なんだかベラベラとアイツが漫画を広げて語り出している。
水無月に負けるとかいう言葉は聞き捨てならなかったが、まあ聞いてやるとするか。
絶対この役、勝ちとらないとな――。