俺様アイドルとオタク女のキケンな関係
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オレンジに染まる川の水面が目に映る。
俺は土手に車をとめて寄りかかり、その光景を目に焼き付けていた。
「祈織お兄さん……、どうしたんですか……?」
実來ちゃんの不安げな声が聞こえてくる。
今の俺は隣にいる実來ちゃんの顔をまともに見ることなんてできなかった。
だって、実來ちゃんがこんな声を出している元凶は俺に他ならないんだから。
俺は切なくきらめく水面を見つめるしかなかった。
「本当にごめん……。あの夜はあんなことになっちゃって。大人気ないよね……。」
やっと紡げたのはこんな言葉。
本当に伝えたいことはこれじゃないのに。
「あぁ、そのことですか。あれはアイツが悪いんじゃないですか!あんなのに付き合わされて大変ですよね。無視した方がいいですって!」
怒りながらも笑って話す実來ちゃんは、いつも通りの実來ちゃんになっている気がした。
神崎君のことでは笑っても、もう俺のことでは笑顔になってくれないのかな……。