俺様アイドルとオタク女のキケンな関係
俺は実來ちゃんの揺れる大きな瞳をやっとまっすぐにとらえた。
「――オーディションの前に、どうしても伝えたかった……。」
ずっと気付かないようにして、心の奥に押し込めた気持ち。
俺は冷たい空気を吸い込んで、素直な気持ちを紡いだ――。
「俺、実來ちゃんのことずっと好きだった――。」
秋風が一気に吹き抜けて、俺は実來ちゃんを腕の中に閉じ込めた。
実來ちゃんがどこかに行ってしまいそうで……、
俺の言葉で困る実來ちゃんを見たくなくて……。
「……あの、い、祈織お兄さん!?」
実來ちゃんはびっくりして、俺から離れようとする。
「……びっくりしたよね、ごめん。でも俺の本当の気持ちなんだ……。」
実來ちゃんが困ってるのはわかってる。
でも、もう離してやれない。
離したくない……。