俺様アイドルとオタク女のキケンな関係
「こんにちは、実來ちゃん。」
怪しく思いながらも道を渡って近寄ると、そう声をかけられた。
そして一瞬はずされたメガネから現れたのは、あたしのよく知っている優しい笑顔だった。
「……祈織お兄さん……。」
びっくりして、あたしはどんな顔をしていいかわからなくなってしまう。
どんな顔をすればいいの……?
「今日こそ迷惑かけないように、俺なりに変装してきたんだ。」
祈織お兄さんはいつもと何ら変わりなく微笑んで話す。
でも、あたしにはできないよ……。
「いえ、別にあたしは大丈夫ですけど……。」
ほら、こんな気の利かない言葉しか返せない。
そして少しの沈黙が流れた後に、祈織お兄さんは笑いながらこう言った。
「もしかして、もうあの結果知ってる?」