俺様アイドルとオタク女のキケンな関係
だって、2人で勝手にあんな賭けをするんだもん……。
祈織お兄さんは、辛い時、手を差し伸べてくれた大切な人。
アイツは、ムカつくし嫌なとこばっかだけど、今更いなくなるなんて想像できない。
きっとどっちが勝ったって、あたしの心のモヤモヤがはれることはないんだと思う。
「ねえ、ちょっとだけ時間いい?」
えっ……?
ふと、問いかけてきた祈織お兄さんにあたしは一瞬キョトンとしたけど、一方的なアイツとの約束を思い出した。
「……あの、でも、今日は……。」
あたしが困ったように言うと、祈織お兄さんはいつものように爽やかにキラリと笑う。
「たぶん今日が最後だから。俺のわがままきいてくれないかな?」
――こんな風に祈織お兄さんが何かを頼んでくるなんて初めてだ。
祈織お兄さんは、いつもあたしのことを思ってくれて、あたしは助けられてばかり……。
「はい、わかりました。」
いつも優しくしてくれた祈織お兄さんに、少しでもあたしにできることがあるならしたい、そう思ったの……。