俺様アイドルとオタク女のキケンな関係


だから、あたしもちゃんとこたえなくちゃ。


「あの、そのことなんですけど……。」


あたしは自分のブランコの揺れをキイという鈍い音と共に止めた。


祈織お兄さんの瞳を見ようとしては……、つい見られなくて視線を落とす。


今こたえようとしてるけど、きっとあたしにはまだそのこたえが出せてない……。


祈織お兄さんは、あの時も私のことを救ってくれて、いつも気遣ってくれる。


最初はお坊ちゃんでモデルで、すむ世界の違う人だと思ったけど、全然そんなことなかった。


どこまでも優しくて、そして憧れの人――。


祈織お兄さんのことは、尊敬してるし大好きだよ――。


でも、この間の真剣な祈織お兄さんを見て思ったの。


……あたしと祈織お兄さんの“好き”は同じなのかな?って……。


今もはっきりとはわからないけど、たぶん祈織お兄さんの想いとは違う気がするんだ……。


「あの……、あたし……」



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