俺様アイドルとオタク女のキケンな関係


心配して損したっつーの!


まだ怒りがおさまんねぇ。


俺はアイツを視界に入れないよう外を向き、足を組んだ。



窓から見えるのは秋の侘しい木――。


色づいた木の葉が冷たそうな秋風に、ヒュルリと一瞬で枝から離され飛んでいく。


離れるのなんて一瞬だ。


すごく容易なこと……。


でも、あの木の葉は一度風で飛ばされたら、決してまたあの枝に葉をつけることはできない。


――たぶん俺も似たようなもんだ……。


あの葉は、俺。


そしてあの木は、……親父。



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