俺様アイドルとオタク女のキケンな関係
すると、アイツは立ち止まり、もっさりとしたカッコ悪いカツラの前髪の間から不機嫌そうな目を向けてきた。
「命令は、絶対だろ!?」
ダサーい恰好で低く声を落として言い放つアイツ。
もうこの間から気分は最悪なのに、何でほっといてくれないの!
今ぐらいそっとしておいてよ……。
あたしはため息をついて、目をそらしぼそりと呟いた。
「うるさいなぁ、ダサ太郎のくせに。」
「はぁ?なんか言ったか?まあ、いい。契約したよな?忘れたとは言わさないぞ。ほら、歩け!」
蓮様フィギュアの契約いつまで有効なんだよ!?
そう心の中では思ったけど、もう面倒くさいから言わなかった。
気付けば、空は藍色へと変わろうとして、なんだか変なグラデーションを作り上げている。
あたしの今の気持ちとちょっぴり似てるかも……。
「おい、着いたぞ。」