俺様アイドルとオタク女のキケンな関係
アイツの張り詰めたような声が、夜にかわろうとする秋のひんやりとした風に溶け込んでいく。
――こんな声出すんだ……。
あたしは初めて聞くその声に導かれるように、前方へと視線を移す。
目の前には黒っぽい瓦屋根の二階家が佇み、表札には確かに山田と記されている。
本当にコイツの実家なんだ――。
あたしがしみじみそう思っていたら、いきなり背中から突き飛ばされた。
「何ぼーっとしてんだよ?早くインターホン押せ!」
はぁ!?!?!?!?
「ちょちょっと待ってよ!!絶対イヤ!」
あたしがインターホン押してどーすんの!
あっ、もしかしてこのために!?
「そういうこと!?自分で押す勇気がないから、あたしを連れてきたわけ!?」