俺様アイドルとオタク女のキケンな関係
「え、あ、あの、すみません!」
あたしは動転してインターホンの前で勢い良く頭を下げた。
気温はコートを着るほどに低いのに一気に汗が吹き出てくる。
「あのですね、けっ、決して怪しいものではありません!えっと、山田さんにお会いしたくてきました。少し、少しでいいんです、お時間いいですか?」
しどろもどろになりながらもあたしが言い終えると、何の返事もないまま機械特有の音がプツリと切れた。
あたしたちはその切れた音とともに、黙り込んで立ち尽くす。
そんな重い緊張感に包まれたときだった。
玄関の引き戸がガラリと開いたのは――。