俺様アイドルとオタク女のキケンな関係


お母さんかぁ――。


あたしはちょっとびっくりしたし、後ずさってアイツの陰に身を隠した。


「元気そうでよかったわ。お父さん、あれでもね、喜んでたのよ。」


アイツのわきから、アイツのお母さんがちらりと見える。


綺麗な人だなぁ。


品がある人、そんな感じだ――。


「あの親父がか……?」


アイツは照れるように頭をかきむしった。


すると、お母さんは首を傾げアイツの後ろを覗きこむように、あたしへと視線を送ってくる。


「あっ、そういえば、太郎、そこのお嬢さんは?」


気付かれてしまい、あたしはピンと棒のように硬直する。


き、気付かなくていいのに……!!



< 279 / 348 >

この作品をシェア

pagetop