俺様アイドルとオタク女のキケンな関係


ぐらりと揺らいだ視界に目をとしたあたしは、パチッと眼を開けた。


きれいに澄んだ黒い瞳、濡れている無造作な艶のある髪、そして爽やかなシャンプーの香り。


いつもと違うアイツ……。


大人っぽく見えて、何故だか心臓がいつもと違う音をたてる。


――って、いやいや、そんな場合じゃないだろ、あたし!!


今どういう状況!?!?


倒れ込んでベッドの上……、そして背中に腕のような感触……。


「やっ、ちょ、ちょっと!は、離れて!!」


こここここここの状況はヤバいって!!!!!!あたしは思いきり暴れた。


「あのさ、俺、今日のことまだ礼言われてねぇんだけど。」


ニヤリと笑ってアイツが言った言葉にあたしはピタッと静止する。


……そういえば、そうだった……。


「……ごめん。……ありがとう。」


目を合わせずに呟いた後、ずっと不思議だったことを聞いてみた。


「……でもさ、何であんなこと……?アンタ、アイドルじゃん……。」



< 312 / 348 >

この作品をシェア

pagetop