俺様アイドルとオタク女のキケンな関係


なんだかもう何もかもがおかしくて、俺は自嘲気味に笑いながら問いかける。


あんな記事くらいでこんなに周りが変わるなんてすげーよな。


「言いにくいんだが、事務所から連絡があった。映画の主演の話が保留になった……。」


主演……、保留……。


俺は吐き捨てるように笑った。


「そうですか。」


ここまでくると本当に笑えてくる……。


あっけねーな……。


「まぁ、とりあえず来週に控えたドームでのライブは予定通りになっている。だが、苦しいだろうな。」


そうだ、もうライブだったな。


――俺の初ライブ。


ライブが決まった時はこんなことになるなんて思いもしなかったのにな……。


頬杖をついていた手で顔を覆うと、足音が遠ざかっていくのが聴こえた。


こういう時、池田さんはよくわかってくれてるからありがたい。


神崎拓真らしくないのはわかってるけど、ちょっとつれぇ……。


するとその時肩を叩かれた。



< 321 / 348 >

この作品をシェア

pagetop