俺様アイドルとオタク女のキケンな関係
「おはよう、神崎君。」
今日初めてまともに声をかけられた――。
その正体はいつもと変わらない笑顔の水無月祈織……。
「お、おはようございます……。」
「少し話さないかい?」
この優しさは何なんだろう?
同情か?それとも、根っからのお人好しとやらか?
「はい……。」
でも、俺は返事をし、水無月祈織の後をついて、人の少ない壁際へと来た。
「大変だったね。マスコミはすぐに騒ぎたてるから。」
水無月祈織は困ったよねとでも言うように肩をすくめてみせる。
「……あの、アイツの家のことありがとうございました。そこまで手がまわらなくて。」
「あぁ、あれは彰の友達としてだから気にしないで。」
そう言って爽やかスマイルを見せると、こう続けてきた。
「でも、ちょっと残念かな。実來ちゃんを守る役目を神崎君にとられちゃって。俺がずっとその役目したかったんだけどな。」