俺様アイドルとオタク女のキケンな関係
外に出れば、ヒューと音をたてて冷たい風が頬を掠めていく。
あたしは部屋の中との温度差に思わきゅっと身を縮める。
「実來ちゃーん。こっちこっち。」
声のする方に視線を向けると、白い車に寄り掛かり、ハンチングとグレーのコートをかっこよく身につけた人が立っていた。
「あっ、お待たせしましたぁ。すみません。」
冷たい風を切って祈織お兄さんに駆け寄る。
「はい、乗って。」
いつものやわらかい笑みで助手席のドアを開けてくれる祈織お兄さん。
「あ……、ありがとうございます。」
どこに行くんだろうという疑問を抱え戸惑いながら、二度目になる慣れない高級車に乗り込んだ。
その後、祈織お兄さんも車に乗り込むと、慣れた手つきで車をスムーズに発進させる。
未だに祈織お兄さんはどこに行くか言ってこないし、どうしたっていうんだろう……?
ていうか、あたしなんかといて誰かに見つかったら、祈織お兄さん大丈夫なのかな?
あたしの疑問は最高潮に達して、祈織お兄さんにそっと聞いてみた。
「あの、どこに行くんですか?あたしなんかと一緒にいて、祈織お兄さん大丈夫なんですか?」