俺様アイドルとオタク女のキケンな関係
運転する祈織お兄さんを俯き気味に見つめると、少し困ったように首を傾げ出す。
かと思えば今度は子供のような無邪気な笑顔を浮かべる祈織お兄さん。
「うーん、実來ちゃんをさらいに来たってとこかな?」
さ・ら・い・に??
さらいにぃぃぃぃぃ!?!?
言葉の意味をやっと理解できたあたしは、祈織お兄さんに爽やかスマイルを向けられ超動揺中!!
顔が熱過ぎて沸騰する!
「ごごごごごご冗談を!!そそそそんなからかわないでくださいよっ!」
あたしは沸騰した顔を覆って、へにょへにょと小さくなっていく。
「はは、落ち着いてよ、実來ちゃん。さらわないからさ。」
祈織お兄さんは楽しげに笑いながら訂正する。
あぁ、祈織お兄さんにまでからかわれたよぉ……。
「本当はこのままさらいたいところではあるけどね。今日はある人に頼まれたんだ。」
――ある人……?
あたしは祈織お兄さんの穏やかでそれでいて、真剣な言葉に聞き入った――。