俺様アイドルとオタク女のキケンな関係
周りの景色が動かなくなって、あたしはある場所に目を止め、息を飲む。
――それは、ドーム……。
そうだ、今日はアイツのライブの日――。
……何でここに……?
「神崎君に頼まれたんだよ、実來ちゃんを連れてきてほしいって。」
あたしは目を見開いて、祈織お兄さんとドームとをゆっくりと交互に見る。
「……アイツが?でも、あたしがここにいちゃ……。」
またマズイことになる。
「見守っててほしいんだよ、実來ちゃんに――。」
あたしに――?
「ほら、俺の気が変わらないうちに、行ってきたほうがいいよ。」
その言葉と一緒にぽすっとハンチングを被せられ、手にはチケットを手渡された。
あたしは唇をキュッと結ぶ。
「ありがとうございます!!」
そう言ってあたしは真っ直ぐ駆け出した――。