俺様アイドルとオタク女のキケンな関係


「普通は他人にどう見られるか気にして、自分を演じたり、合わせたりしませんか?」


マイクに通されたアイツの問いかけが響いていく。


落ちた沈黙に、……あたしのうるさい鼓動が目立つ。


押し寄せるのは不安だけ。


平常心でいられるわけがない。


本当に、本当に、大丈夫なの……、アイツは……。


――みんながアイツの次の一言を待っている……。


やっとかすかに聞こえたアイツのブレス音。


あたしは怖くてギュッと目をつむった。


「俺もそうでした。だけどソイツに教えられたんです。本当の自分をさらけ出すことを――。だから、ファンのみんなには本当の俺を知ってほしい――。」


……へ?


思いもよらない言葉に、きょとんと眼を開けるあたし。


体の力がへなっと抜けていく。


大きく映し出された顔はいつものアイツらしさを残しながらも、凛々しく輝いてた――。



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