俺様アイドルとオタク女のキケンな関係
「がっかりした人もいると思う。でも……それでも、ありのままの俺でいたかった――。」
アイツの決意のこもった声が、波紋のように静かに場内中に広がる。
これだけの人がいるのに一つの音もしないほどに静まり返っている。
「――こんな俺でも応援してくれますか――?」
アイツは光り輝くスポットライトの中、深く頭を下げた。
あのプライドの塊のようなアイツが頭を下げるなんて……。
それだけ、アイツの強い想いがひしひしと伝わってくる。
ファンはなんて反応するだろう……?
この一瞬が何よりもこわい。
一瞬をこんなに長く思ったことなんてない……。
あたしは祈るように手を合わせて力をこめる。
どうか、お願い――。