恋屑(コイクズ)-短編集-
確かにそういう考えかたもあるかもしれないけど
「私、生きてる意味ないし」
「死んだら親とか悲しむ人いるよ?」
親、かあ…
「いれば、ね。私いないもん。誰も悲しまない、私なんていなくていいの」
「確実に1人は悲しむよ?」
私を握る手に力が入り不思議に思い横を見る
するとこの人もこっちを見ていて目があう
「かずきって人」
…かずき?
「誰それ」
「ん?オレ」
「…え?何で?」
「何でって…理由いる?」
急な話の展開に私の頭はなかなかついていかない
「会ったばっかの人に悲しまれてもー…」
「じゃあ、話しててメンドくなかったから」
「なにそれ?」
怪訝そうな顔をしてこの人を見るとあとね、といいながら私の耳元で
「また話したいって思ったから………」
「だからさ、死ぬの今日じゃなくてもよくない?オレがいない日にしなよ」
「いつもいるんでしょ?」
「うん、………待ってるよ」
「そんなこと言ったら毎日来ちゃうよ?」
私、弱ってる時に優しいこと言われたら信じちゃうんだから
そう言うとにこっと初めて私の前で笑ながらまた耳元で
「むしろ来てよ、頑張るの休憩してさ」
「充電期間にしよ?これからはオレがついてるからさ?」
-END-