恋屑(コイクズ)-短編集-
「何でって…彼女の家に遊びに来ちゃダメ?」
「アタシって彼女なの?」
かすれた声しかでない
ずっと会いたかった彼が目の前にいることが信じられなくて
「あー…、もしかしてあの記事」
困ったような顔をしてる彼やっぱりあの記事は…
「ホントはまだ言いたくないんだけど、」
誤解されたままだと困るし
そう言いながら彼はカバンから小さな袋を取り出した
「えー…、これは?」
「ん?誕生日プレゼント」
びっくりして頭が働かない
「フリーズしないでよ〜ほら、開けてみて?」
にこっと小首をかしげながら彼が笑う
「…うん、」
袋の中から出てきなのはネックレス
「記事に載ってる女優さんに人気の教えてもらっただけ」
だから本当に彼女とは何にもないよ
俺が好きなのはお前だけ
「わかった?…って泣いてんの?」
気づいたら嬉しすぎて涙がとまらない
思わず彼に抱きつく
「ありがと、アタシも大好き」
「俺の方がお前のこと大好きだから、負けないよ?」
-END-