恋屑(コイクズ)-短編集-
わがままで小悪魔な先輩
「まさやーっ!」
朝から大きな声で後ろから名前を呼ばれる
後ろを振り返り顔を見なくたって誰だかすぐわかる
…毎朝のようにオレの彼女、先輩はやってくるから
バタバタと足音が近づいてきたと思ったら背中に衝撃が
先輩が後ろからオレをぎゅーと抱き締めている
先輩がくっついたまま後ろを振り返ると笑顔の先輩と目が合う
「おはよ!!」
「おはよーございます…先輩あの…すごい目立っているんで離れてもらっていいっすか?」
朝の廊下は人通りが多く、ど真ん中でこんなことをしていれば目立つうえにすごく邪魔なわけで
でも先輩はー…
「やーだー!昨日全然会えなかったから今日はイチャつくのー!!」
「昨日は先輩が用事があるって言ったからじゃないですか、」
「ゆきは悪くないもん!まさやの意地悪ー!」
はぁー…とオレが大げさにため息をつくと先輩がやっとオレから離れる
「もういい!まさやのバーカ」
先輩はそう言うと歩きだす
あ…、
「ちょっと待って?」
歩いてる先輩の手をつかみこちらを振り向かせる
「何!?バカまさや離してよ」
「先輩、それ何?」
左手に握られている小さめの紙ぶくろ
甘い甘いにおいのするそれ
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