恋屑(ｺｲｸｽﾞ)-短編集-

No.15

この手を握って

特別にかっこいい顔してるわけでもないし頭もすごく良いわけでもないし。運動神経もそこまで。





そんな私と血の繋がりのないお義兄ちゃん。





優しいわけでもないし、性格は良いとも悪いとも言えない。





お父さんがつれてきた新しいお義母さんとその息子。




あたしの本当のお母さんはまだあたしが小さいころに亡くなっているからほとんど記憶にない。





だからお父さんの再婚には賛成だし新しく家族が増えることに何の不満もない。




いや、なかった の方が今のあたし的には正しいのかもしれないけど。





最初はやっぱり慣れなくて新しいお義母さんとお義兄ちゃんとの距離感がわからなくて。





最近はお父さんの目を見て会話できなくなった。自他共に認めるファザコンのあたしが。





原因は自分でよくわかってる。お父さんもお義母さんもお義兄ちゃんも心配してるのもよくわかってる。





でも、どうしても、やましい気持ちがどこかにあるあたしはお父さんとお義母さんが仲良く話してるのを見たくない。





だって二人が離婚しないとあたしとお義兄ちゃんはいつまでもずっと兄妹でしょ？




あたしは絶対に好きになってはいけないお義兄ちゃんに恋してしまった。






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