恋屑(コイクズ)-短編集-
No.19
不器用で照れ屋
アタシの自慢の一つ年上の彼はバスケ部で身長が高くてイケメンです。
そんなモテ要素だらけの先輩だけど全くモテません。
理由は簡単で友達のあきちゃん曰く性格がとっても悪いからだそうです。
でもアタシはそんな先輩が大好きです。
身長がアタシより25センチも高い彼がバスケをやっている姿はとってもかっこよくて一目惚れした子がよく先輩に話しかけます。
「ゆう先輩お疲れサマですっ」
「……ん」
でも基本的に先輩は話しかけてくる女の子がいてもほとんど返事をしません。
告白した人の話だとオレ君のこと興味ない、の一言で断られたらしいです。
でもそんなことアタシから見ればちょっと冷たいだけだと思うんだけど周りからは評判が良くないです。
アタシが先輩と付き合うことになったときは友達からMなの?とさんざん聞かれました。
今日も大好きな先輩と一緒に帰りたいので先輩が部活が終わるのをあきちゃんと一緒に待ちます。
あきちゃんもバスケ部に彼氏がいるのであきちゃんと話ながら待つのはすごく楽しいです。
部活が終わり、先輩の教室に向かいます。帰る準備をしている先輩の方へ行くと一言、
「別に帰っててよかったのに」
周りにいたバスケ部の先輩たちはそれを聞いてせっかく待っててくれたのにアタシがかわいそうだと先輩を責めます。
「全然気にしてないです。好きで待ってたので。先輩一緒に帰ろ?」
アタシが笑ってそう言うと先輩はアタシの方は見ずにわかった、と言い一緒に帰ります。
「先輩、手つなご?」
身長の高い先輩を見上げながらアタシが頼むと無理と言われました。
でもアタシは気にしません。
アタシがあきちゃんや周りの人が言うようにMだからとかそんなわけではなくて、
先輩が帰っててよかったのにって言うのは待ってる時間がもったいないし悪いからって意味だし
先輩が手をつないでくれないのは人が多いところでは恥ずかしいからで。
だから、ほら。
人通りが少なくなると先輩から自然につないでくれる。
【不器用で照れ屋】
「ゆう先輩大好き!」
「………うん」
-END-