ジュリアン・ドール
序章・伝説の人形
今から七百年以上も昔・・・
ダルターニ王国の姫君と燐国の貴公子が恋におちた。
夜ごとの舞踏会、誰もが羨む程に狂おしく愛し合い、注目を浴びた二人は、その姫君の義妹姫が貴公子を奪うことにより引き裂かれ・・・
以来、姫君は一人傷心の旅に出、姿をくらましたとか。
または、旅先で自ら命を絶ち、一人寂しく死んでいったとか。
あるいは、それ以来毎夜のように、貴公子の祖国ベルシナの舞踏会に出席し、まるで狂ったように一人でダンスを踊り続け、そのうち狂い死にしたとか……。
そして、貴公子から送られた数々の美しい人形だけが今も、確かに二人が愛し合っていた証として、姫君が住んでいたダルターニの離宮、現在は人形店“ジュリアン・ドール”に残されているという。
その姫君の人形にまつわる、もうひとつの言い伝えは、これまでの人形の引き取先での数々の血塗られた事件。
姫君は自害や狂死などではなく、実は魔女の血を強く引いた義妹姫の魔力によって、その姿を人形にかえられ、今も昔の時代に取り残されたままの姿でいるとかー。
そして、人形の引き取り手の許で、美しい姫君の姿に戻ることが出来るというが、人形の引き取り先では必ず、恐ろしい事件で、血の色に染まった幕が下ろされ、人形はあるべき場所へ戻ってくる、という云われも伝えられている。
幾つかの噂は、そのまま言い伝えとして、七百年以上も過ぎた今もなお、この時代にも残されている。
この物語は、ダルターニ王国の姫君ジュリアンと、ベルシナの貴公子ローレンの恋愛の舞台だったミューシャンの館、現在は“レストラン舞踏会”を舞台の中心として、時代を越えて再び巡り逢った二人の恋愛の物語である。
そして物語は、かつてジュリアンの生まれ育ったダルターニの離宮、現在は“ジュリアンドール”という名の人形店から幕が上がる。
ダルターニ王国の姫君と燐国の貴公子が恋におちた。
夜ごとの舞踏会、誰もが羨む程に狂おしく愛し合い、注目を浴びた二人は、その姫君の義妹姫が貴公子を奪うことにより引き裂かれ・・・
以来、姫君は一人傷心の旅に出、姿をくらましたとか。
または、旅先で自ら命を絶ち、一人寂しく死んでいったとか。
あるいは、それ以来毎夜のように、貴公子の祖国ベルシナの舞踏会に出席し、まるで狂ったように一人でダンスを踊り続け、そのうち狂い死にしたとか……。
そして、貴公子から送られた数々の美しい人形だけが今も、確かに二人が愛し合っていた証として、姫君が住んでいたダルターニの離宮、現在は人形店“ジュリアン・ドール”に残されているという。
その姫君の人形にまつわる、もうひとつの言い伝えは、これまでの人形の引き取先での数々の血塗られた事件。
姫君は自害や狂死などではなく、実は魔女の血を強く引いた義妹姫の魔力によって、その姿を人形にかえられ、今も昔の時代に取り残されたままの姿でいるとかー。
そして、人形の引き取り手の許で、美しい姫君の姿に戻ることが出来るというが、人形の引き取り先では必ず、恐ろしい事件で、血の色に染まった幕が下ろされ、人形はあるべき場所へ戻ってくる、という云われも伝えられている。
幾つかの噂は、そのまま言い伝えとして、七百年以上も過ぎた今もなお、この時代にも残されている。
この物語は、ダルターニ王国の姫君ジュリアンと、ベルシナの貴公子ローレンの恋愛の舞台だったミューシャンの館、現在は“レストラン舞踏会”を舞台の中心として、時代を越えて再び巡り逢った二人の恋愛の物語である。
そして物語は、かつてジュリアンの生まれ育ったダルターニの離宮、現在は“ジュリアンドール”という名の人形店から幕が上がる。