ジュリアン・ドール
ジョウが自分の後を次いで人形師の道を選んだのも、このような素晴らしい人形をその手で作り上げる為なのだろう。


そのせいか、ジョウの作る人形は全て、髪は透ける様な黄金色の長い髪。そして、眸は深い深い碧色の、大きな眸の物ばかりであった。



ひとつ、ひとつの人形を見たなら、それはそれは素晴らしい出来の人形達だろう。


しかし・・・・・、いろんな顔、いろんな姿、いろんなタイプの人形を作ることをジョウは知らない。


紛れもなく、それらは人形に名前をつけるのであれば“ジュリアン”という名以外の名を許さぬ物ばかりだった。


まあ、それはそれで、得意の客や、わざわざ遠い街からこの店を訪れる客からの評判も高いので、これがジョウの作品の特色だと、ダルディは孫の腕を認めてもいた。


ダルディはしばらくそれを見た後、ジョウのデッサンの紙とペンをしまおうと、机の引き出しを引いた。


すると・・・・・、その中に小さな宝石箱を見付けた。

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