ジュリアン・ドール

『始めて君に会った時から戸惑っていたんだ。君を愛してしまった事に・・・・・・。

毎晩君を思うと苦しくて、君と目が合う度に思い上がってしまっていたんだよ。君も私を愛してくれているという勝手な妄想に・・・・・・。

それで酔った勢いでつい、・・・・・まさか、君を泣かせてしまうとは思ってもいなかった・・・・・。本当に・・・ごめん』


ハーリーは、胸元の白いハンカチーフを手に取って、彼女の涙をぬぐってやった。

ジュリアンは、夢のようなローレンの愛の告白に、これ以上に無いほどの幸せを感じ、その、涙に塗れた頬を、ローレンの胸元にそっと置いた。



『嬉しいわ、ローレン。私も・・・始めて会った時から、ずっとあなたをお慕いしておりました』



信じられない、愛しい姫君からの愛の告白だった。ローレンは彼女の気持ちを聞いて、今にも叫び出してしまいそうな気分だ。


『ジュリアン、ありがとう!』



そして、自分の胸に頬を埋めるジュリアンの肩を抱き締め、叫びたいほどの喜びをハーリーにぶつけた。



『聞いたか、ハーリー?私と君の義妹君は愛し合っている!!』



ローレンの言葉に、二人に背を向けていたハーリーは二人に向き直り、優しい微笑みを見せた。


『確かにお聞きしました。ジュリアン、おめでとう。晴れて二人は義兄上公認の恋人同志だ!』

『ハーリー・・・・・』



ジュリアンは、恥ずかしそうに顔を赤く染めている。



『ハーリー、お前、こうなると知っていて私に酒を飲ませたな?!』

『ま、いいではないか、君のためではない。思い上がるな!お前が余りにも奥手過ぎて見ていてじれったいから、私の可愛い義妹ジュリアンの為に仕組んでみただけだ』


ハーリーは得意そうに笑いながら、カウンターを出てピアノの方へと歩いて行った。ローレンは、ハーリーの行動をすぐ読み取み取ったらしく、ジュリアンに手を出し、フロアーへ彼女を誘導した。

『一緒に踊ろう、ジュリアン!私のパートナー!ハーリーが私達の為にピアノを弾いてくれる!!』
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