ジュリアン・ドール
広い緑の庭園。
噴水の涼やかな水の音。
人魚の石像が天に掲げた水晶玉をイメージする光の玉が放つ七色の光りでライトアップされ、噴水から吹き上げる水が光を照り返し、虹の輝きを物語っている。
しかし、そんなインテリアさえも、この光を溢れさせる夕暮れ時の豪奢な館を前にしては、庭園に飾る唯の置物にしか過ぎない。
二人は夕闇に浮かぶ光の中へと向かう。
レストラン“舞踏会”の正面玄関の扉の向こうは、選ばれた者だけが足を踏み入れる事を許された場所へ――。
使用人の案内に導かれ館の中へと一歩足を踏み入れると、そこは吹き抜けのエントランスロビーになっていて、そのロビーには芸術性溢れる壁画や天井画がレストランとされている大広間や、その他の施設へ抜けるそれぞれの回廊へと続いている。
それぞれの回廊への入口前には、その壁や天井から抜け出して来たかのような美しい女神や天の使い子達のブロンズ像が、その入口を示すようにそれを挟んで飾られている。
その一番左端の女神が示す入口の向こうから、既に始まっている舞踏会の音が洩れてきて、そこがレストラン“舞踏会”へ抜ける回廊だとわかる。
ジョウは無意識のうちに姿勢を正し、ミサと共に颯爽と回廊を抜ける。
するとそこは、辺り一面雪の積もった銀世界のように真っ白な大理石の、だだっ広いフロア-になってる。見上げると高い天井からは幾つものシャンデリアが垂れていて、ガラスの粒たちが光を気ままに美しい色に反射させて煌々と輝いている。
吹き抜けのこのフロアの壁には一面に鏡が張りつけられ、手を取り合って踊る紳士淑女達を八面の壁に映し出し、その場を賑わせていた。
そして幾つも並んだ窓には、外からは中の様子は良く見えるが、内側からそれを見ると鏡になっているマジックミラーが窓ガラスに用いられていて、窓の縁にはワインレッドのカ-テンが見上げるほどに高い天井近くから幕のように垂れ下がっている。
それを見上げたならば、その天井にさえ鏡が一面に張りつけられている。
だだっ広いだけのダンスフロアーだが、周りの壁や窓と天井の鏡に移し出され、そこは、更に広い不思議な空間になっている自由を求める為の別世界だった。
噴水の涼やかな水の音。
人魚の石像が天に掲げた水晶玉をイメージする光の玉が放つ七色の光りでライトアップされ、噴水から吹き上げる水が光を照り返し、虹の輝きを物語っている。
しかし、そんなインテリアさえも、この光を溢れさせる夕暮れ時の豪奢な館を前にしては、庭園に飾る唯の置物にしか過ぎない。
二人は夕闇に浮かぶ光の中へと向かう。
レストラン“舞踏会”の正面玄関の扉の向こうは、選ばれた者だけが足を踏み入れる事を許された場所へ――。
使用人の案内に導かれ館の中へと一歩足を踏み入れると、そこは吹き抜けのエントランスロビーになっていて、そのロビーには芸術性溢れる壁画や天井画がレストランとされている大広間や、その他の施設へ抜けるそれぞれの回廊へと続いている。
それぞれの回廊への入口前には、その壁や天井から抜け出して来たかのような美しい女神や天の使い子達のブロンズ像が、その入口を示すようにそれを挟んで飾られている。
その一番左端の女神が示す入口の向こうから、既に始まっている舞踏会の音が洩れてきて、そこがレストラン“舞踏会”へ抜ける回廊だとわかる。
ジョウは無意識のうちに姿勢を正し、ミサと共に颯爽と回廊を抜ける。
するとそこは、辺り一面雪の積もった銀世界のように真っ白な大理石の、だだっ広いフロア-になってる。見上げると高い天井からは幾つものシャンデリアが垂れていて、ガラスの粒たちが光を気ままに美しい色に反射させて煌々と輝いている。
吹き抜けのこのフロアの壁には一面に鏡が張りつけられ、手を取り合って踊る紳士淑女達を八面の壁に映し出し、その場を賑わせていた。
そして幾つも並んだ窓には、外からは中の様子は良く見えるが、内側からそれを見ると鏡になっているマジックミラーが窓ガラスに用いられていて、窓の縁にはワインレッドのカ-テンが見上げるほどに高い天井近くから幕のように垂れ下がっている。
それを見上げたならば、その天井にさえ鏡が一面に張りつけられている。
だだっ広いだけのダンスフロアーだが、周りの壁や窓と天井の鏡に移し出され、そこは、更に広い不思議な空間になっている自由を求める為の別世界だった。