ジュリアン・ドール
「ハーリーの前世はどんな人だったの?」
「わたくしですか?わたくしは、以前もこうして、皆様のためにお酒を作っていました。ここは昔の儘、変わっていないですから・・・・・。
わたくしにとって一番安心できる場所なんですよ、ここは」
ハーリーは、懐かしそうに話している。
「そんなものなのかしらね・・・・・。じゃあ、私の過去は?分かる?」
ミサは興味心で尋ねた。
ハーリーは、人の運命をむやみに覗いては行けない、と言う心がけを持っているはずだったが、ミサが何となく、前世という彼のもうひとつの過去に出てくる、ある少女に似ていたせいか、話の流れもあってか、親しみやすいこの娘の質問に答えてあげたくなった。
「どれどれ・・・・・?では、わたくしにその眸を見せてください・・・・・」
ハーリーがそう言うと、ミサは、闇色の、しかしとても澄んだ純粋な眸を、照れくさそうにハーリーへと向け、ハーリーの眸を見つめた。
ハーリーは、じっ・・・・・と、ミサの眸の闇色の向こうに見える運命を探る。
彼には見えた。
ミサの過去を通り越して、何世紀も昔の前世が・・・・・。
『ーえっ!?』
ハーリーは、ミサの眸を凝視したまま固唾をのみ込んだ。
ミサはハーリーから眸を反らそうとはしない。まっすぐな眸でハーリーを見ている。
(こんな事があっていいのだろうか?本当にこの娘が、私のエルミラーラだったなんて。私はこの日を待ち望んでいた。やっと逢えた、私の・・・・・エルミラーラ!)
「見ぇ・・・・・てきた~? おじょおちゃんんの、っぜんせ?」
「・・・・・」
傍らに座る婦人が尋ねるが、ハーリーは黙ったままだ。と言うより、言葉を見失っていた、という方が正解だ。
遥か昔と同じこの場所で、再びこの娘に出会える日を望んで、ハーリーはここで働いていたのだから。ここにいれば、いつかきっと逢えると信じて。
『・・・・・エルミ・・・ラ-ラ・・・・・!』
それは、忘れるはずのない、一人の女性の名だった。
「わたくしですか?わたくしは、以前もこうして、皆様のためにお酒を作っていました。ここは昔の儘、変わっていないですから・・・・・。
わたくしにとって一番安心できる場所なんですよ、ここは」
ハーリーは、懐かしそうに話している。
「そんなものなのかしらね・・・・・。じゃあ、私の過去は?分かる?」
ミサは興味心で尋ねた。
ハーリーは、人の運命をむやみに覗いては行けない、と言う心がけを持っているはずだったが、ミサが何となく、前世という彼のもうひとつの過去に出てくる、ある少女に似ていたせいか、話の流れもあってか、親しみやすいこの娘の質問に答えてあげたくなった。
「どれどれ・・・・・?では、わたくしにその眸を見せてください・・・・・」
ハーリーがそう言うと、ミサは、闇色の、しかしとても澄んだ純粋な眸を、照れくさそうにハーリーへと向け、ハーリーの眸を見つめた。
ハーリーは、じっ・・・・・と、ミサの眸の闇色の向こうに見える運命を探る。
彼には見えた。
ミサの過去を通り越して、何世紀も昔の前世が・・・・・。
『ーえっ!?』
ハーリーは、ミサの眸を凝視したまま固唾をのみ込んだ。
ミサはハーリーから眸を反らそうとはしない。まっすぐな眸でハーリーを見ている。
(こんな事があっていいのだろうか?本当にこの娘が、私のエルミラーラだったなんて。私はこの日を待ち望んでいた。やっと逢えた、私の・・・・・エルミラーラ!)
「見ぇ・・・・・てきた~? おじょおちゃんんの、っぜんせ?」
「・・・・・」
傍らに座る婦人が尋ねるが、ハーリーは黙ったままだ。と言うより、言葉を見失っていた、という方が正解だ。
遥か昔と同じこの場所で、再びこの娘に出会える日を望んで、ハーリーはここで働いていたのだから。ここにいれば、いつかきっと逢えると信じて。
『・・・・・エルミ・・・ラ-ラ・・・・・!』
それは、忘れるはずのない、一人の女性の名だった。