君のために
幻想

「つばさ、起きなきゃ遅刻だよ!?」


これは夢…なのか。

いとおしい顔が、俺の名前を呼ぶ。


「愛花…」


彼女に触れるように、名前を呼びながら手を伸ばす。

しかし、伸ばした手も虚しく空気を掻いた。


「いるわけねーじゃんな。」


連絡がつかなくなって二ヶ月。

愛花が居なくなった俺の生活には、覇気がなくなり

ただ、ただ
仕事をこなす日々。


あの日


俺が、意地なんか張らずに謝ってたら

今も、愛花は俺の隣に居たかな。


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