君のために
思い出せない。

暫くの沈黙が続く。


『やっぱり、分からないんだね。』


『記念日だよ。2年目のね。』


それを聞いてハッとする。


『電話一本くらいくれたら良かったのに。』


「だからっ、仕事が入ったんだから無理だったんだって。」


『分かってるけどっ!いつも仕事、仕事って…!』


「社会人なんだ、しかたないだろうが!」


『それでもっ…寂しいんだよ。ばか!』


今思えば、
もっと愛花を考えてやるべきだった。


今より、ちょっと
若い俺はカッとなって
自分の事しか考えてなかった。


それから連絡はつかず

所在は不明。


いつもの場所には何度も足を運んだ。


無意味に近い行動だけど、


逢えると信じていた。
いや、信じたかった。


.


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