君のために
仕事を終えて、家に帰る途中。


――愛花?


いつもの場所に愛花がいた。


これは…俺の見間違い…なのか。


駆け寄りたいのに足が動かない。


「あいっ…か」


情けない。
声もでねーや…


彼女は俺を見て微笑んだ。


優しい笑み。


「愛花…」

ゆっくり、歩き出す。


そして、
抱き締めようとした。





…が。
愛花は消え、自分を抱き締める状態になった。


あまりの虚しさに涙もでない。


――やばい。そーとう依存してるな、俺。


むしろ、笑いが込み上げてきて、その場に膝をついた。


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