恋心



「夏美もね、いいとこあるんじゃん、ってその時思ったみたいなんだけどさ。なんか…あれでしょ?夏美がバイト先でひっぱたいちゃったって聞いたけど…」



言いながら、
何故か気まずい顔になる彼女。


俺もふとあの時を思い出して、一体何であんなやつにひっぱたかれたんだろうって、今になっても腹が立ってきた。



「ひどくね?いきなりバッチーンだぜ?しかも超強烈」



結構痛かったんだよ、あれ。



「まぁでも話を聞いてたらさ、夏美が思わずパチンてやっちゃったのも理解できるっていうか」


「何で?あいつ俺ともナミとも何も関係ないじゃん」


「そうなんだけどさ…。多分、重なっちゃったんだよ、ナミちゃんと自分が」



重なった?

ナミとあいつが?




「夏美ね、入学してすぐの頃ーーー」






< 109 / 278 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop