恋心
不意打ちの再会だった。
そしてそれをきっかけに、どうしてなのか狂っていた歯車が動きだしていく。
バイトを終えて家に着いた時、携帯がうるさく鳴り響いた。
メールの着信音だった。
指先を動かし、それを確認した。
メールを送ってきた相手は…
どういうことなのか永瀬先輩だった。
9時で終わりなんだ?もう帰った?
たった一行のメールを、何度見返したんだろう。
受信されてから20分。
あたしは何度も何度もそれを見て、返信しようかどうか悩んでいた。
ダメ。
返しちゃダメ。
あんなことした人だよ?
謝られたって、許せない。
ふざけてる。
ナメられてる。
無視すればいい。
会うことなんて滅多にない。
そうだ、無視すればいいんだ。