恋心
『隣の子もC組?』
『え?あぁ。夏美もCですけど。ねっ?』
『あ、うん』
ラッキー。
ショートヘアのその子は、ありがたいことについでに彼女の名前まで俺に教えてくれた。
『ねぇ夏美ちゃん、俺、隣のクラスなんだけどさ』
だから早速だけど、勝手に夏美ちゃんとか呼んじゃう俺。
『知ってます』
『えっ?』
『ナミちゃんの彼氏でしょ?』
彼女はそう言って俺の方を見ると、続けてこう言った。
『ナミちゃんの前はA組の園部さん。その前は三年の川崎さん。その前は…B組の村井さんだったかな。合ってますか?』
『へっ?』
『有名ですよ、D組の清原大雅っていえば』
『有名?』
一瞬、シーンとした空気が流れたあと、歩夢達の笑い声が校庭に響いた。
『ハハハッ!有名だってよ大雅!』