恋心
「なんかまた雨降ってきそうだな」
窓際に座っていた俺たちは、そんな歩夢の声に窓の向こうの空を見上げた。
梅雨はまだ明けていない。
どんよりした曇り空。
ハァッとため息がでる。
「あ、そういやさ、あのレアガチャ引いた?」
「ハッハッハッ、俺様を誰だと思っておる。引いたに決まってんだろぉぉー!」
うるさい二人だ。
最近ハマってる携帯ゲームの話でいちいちテンションがハイになっている。
フッと笑い、アイスティーを飲んだ。
外のジメッとした生暖かい空気とは違い、冷んやりとした店内は心地良い。
喉を流れていく冷たいアイスティーが、ベタベタ汗ばんでいた体を冷やしていく。
混み合う騒がしい店内。
ま、こいつらが一番うるさいか…なんてボーッとしながら思っていた時だった。
「えっ?あの子なっちゃんなんだ?」
「おー、超可愛くなってただろ?」
「えっ?なっちゃんて相原…なつ、み?だっけ?」
聞こえてきた会話に、俺は思わず振り返った。
真後ろのテーブル席。
三人の男が座っていた。
見覚えのある顔たち。
そうだ、こいつら卒業生だよな?