恋心
「ま、よかったじゃん。もう完ぺきに学習できたろ」
「…うん」
「簡単に人を信用すんなってこと。世の中お前が思ってるより悪い奴は多いぞ」
「ハハッ何それ」
「ちゃんと見極めろよ、お前みたいな奴はあーいうタイプよりクソが付く位マジメな男が合う」
何それ。
もしかして、こいつ慰めてくれてんの?
あたしはクスっと笑いながら言った。
「クソが付くほどマジメな人なんているかな」
「んー、そうだなぁ…あ、お前のクラスにいるじゃん!あの眼鏡の学級代表」
「あー、緑川?うーん…パス」
頭に浮かんだ学級代表の緑川の姿に、またクスっと笑ってしまった。
「ひどっ!緑川もお前みたいな奴にパスとか言われちゃ可哀想な男だな」
「ちょっとお前みたいな奴って何よ」
そんなくだらない会話が続いていた。
そしたら、何かさっきのこととか先輩のこととか。
気付いたらもう、そんなのどうでもよくなっちゃってた。
ちゃんと笑えてた。
無理して、とかじゃなくて。
ちゃんと笑えてたんだ、あたし。