恋心
今回は随分立ち直りが早い。
一年のあの時はズルズル引きずっていたけど、あんなことがあっても先輩のことなんて微塵も考えたりしなかった。
初めての相手が自分にとってのただの汚点になって。
二回も騙そうとしたあの人が、心底嫌いになった。
永瀬修二。
苦い思い出。
最低最悪の…恋。
「じゃ、夏美また明日ね!」
「うん、バイバーイ!」
帰り道、春ちゃんと手を振りながらいつものように交差点で別れた。
雨がさっきよりも強くなってきていて、あたしは家路を急ぐ。
今日はバイトもないし、ゆっくりしよう。
あーあっ。
急ぎ足で自転車を漕いでいたけど、赤信号に引っかかり、キキーッとブレーキをかけた。
もうっ、ついてない。
地面に跳ね返る雨。
傘に響く音。
わー、めちゃくちゃ降ってきたじゃん。