恋心
「ただいま…」
家に着くと、呟くように玄関を開けた。
部屋に入り、雨で濡れた制服のズボンをハンガーに掛けると、シャツを脱いで脱衣所のカゴに入れに行った。
「ハァッ…」
何だかものすごく気分が悪い。
リビングのソファにゴロンと寝転がると、俺はそっと目を閉じた。
何も考えたくなかった。
頭を空っぽにしたかった。
だけど、
何度も浮かんでくるのはさっきのあいつの姿だった。
マジでバカじゃね?
大きな交差点で見つめ合ったりして。
周りの目なんて全く気にもしないで。
しかも相手はあの永瀬だぜ?
学習能力ゼロどころか、マイナスの域だろ。