恋心
「なぁ、テツ。前にカラオケ行ったS女の三年いたじゃん?」
翌朝。
俺は登校してきたテツに駆け寄ると、速攻でそう聞いた。
「うん、それがどしたんだよ」
「またカラオケセッティングしろよ」
「えっ?」
テツは口をポカーンと間抜けに開けて。
そして、驚いたようなまん丸な目をしながら言う。
「つーか…お前の口からそういうの聞くの初めてじゃね?」
「は?そうだっけ?」
「…おぅ。俺らが誘うことはあってもお前からそういうの言ったことはなかったじゃん」
へぇーっ。
初めて、か。
「んなことどうでもいいからさ、とりあえず頼むわ。今日でも明日でもいつでもいいから」
「う、ん…分かった」
テツは不思議そうな顔で俺を見ながらもそれを承諾してくれて。
昼休みに歩夢と中庭のベンチでボーッとしていると、早速いい知らせを届けに来てくれた。
「大雅ー!今日4時!いけたぞ」
中庭に響いたテツの声。
俺より先に歩夢がそれに反応する。
「何だよ4時って?」
「んー?お前には関係ねえよ、セナにバレならダルイし」
「はっ?何だよ教えろよ、なぁテツ!」
ベンチに座ったテツに、歩夢がしつこく詰め寄りだした。
そして、テツが仕方なさそうに口を開くと何故か歩夢は黙りこんでいた。