恋心
「とりあえず…その誤解を解いておきたかったんだ」
「そっか…まぁ…分かった」
「で、あんたは?」
「えっ?俺?」
そう聞かれたけど。
実はそのことを聞こうとしていた、とは言えなかった。
だから、気になっていたことを聞くことにする。
「お前帰る方向逆だろ?何でこっち方面通ってたんだ?」
「えっ?あぁ…」
気まずそうに言葉を探している顔。
もしかして、偶然通りかかったんじゃないのか?
「さっきのあの女、俺の母親なんだよ」
「うん」
やっぱり分かってるのか。
何でだ?
それにさっき、あの女に向かって変なこと言ってたよな?
傷つけるために現れないでくれとかなんとか。
もしかしてこいつ…
「お前、俺の昔の話知ってんの」
「えっ…あ、知って…るっていうか知らない、っていうか…」
「歩夢か?テツか?」
「ううん…三浦さん。あ、でも全部は知らないよ?前にちょっとだけ聞いただけだから」
「ふーん…」
セナの奴、何でそんなこと。